テラフローラへ⑥夏至の魔法

”夏至の朝、日の出を見にいくためのちいさな散歩の中で起きたことはわたしのこれからを示してくれている”というジンクスがあるのでここ数年、意識して夏至の朝を過ごしてきました。

2016年はどんなことがあったか。
 
テラフローラに滞在中に夏至を迎えたことはとても特別な感じがします。
今日はテラフローラでの夏至の日の朝、日が昇るまでに起きたことを記したいと思います。


2016年6月20日(世界標準での夏至の日)

 
日が昇る30分前に外に出てみた。

辺りは、すべてがブルーグレーに包まれた薄明の世界。

薄墨色の木々のシルエット。

朝露を生み出す、ひんやり湿った空気は草葉の香り。


早朝の世界にすこしドキドキしながら
空を見上げたり、うろうろしたり。

そのほんのわずかな間にも、
刻々と木々の枝が色彩を取り戻していく。
グレーから、すこしずつ、緑色に・・・ 

目の前には、
12のヤドリギが寄生しているブラックオークの樹。

そのすぐ手前には先住民族のマイデュの人々が
歌や祈りや血を捧げ、
どんぐりを挽いていた大きな石がある。

その大きな石の上に、丸みを帯びた長細い石があった。

近づいてみると、

その石は石ではなく、
仰向けになったモグラだった・・・

そのモグラは死んでいた。
気を失っているかのように。

衝撃だったけれど、
あまりに愛らしい容姿だったので
思わず見つめてしまった。

モグラの手のひらは大きかった。

なぜ仰向けになって死んでしまっているのか・・・
外敵に襲われた痕跡はないように見えた。

(あとで調べてみたところ、
モグラは4時間空腹が続くと死んでしまうとあったので、
空腹になってしまったのかもしれない)


お弔いをしなくては・・・と思った。

勇気を出してそっと持ち上げると
まるでついさっきまで生きていたかのように、柔らかだった。

毛並みはビロードのような、猫柳のつぼみのような
うっとりするほど気持ちのよい手触りだった。

そうしてモグラを、すこし離れたところの
背の高い樹の下に運び、埋めてあげた・・・。


これが、2016年の夏至の朝、わたしが朝日が昇るのを見るまでの時間に立ち会ったことでした。

 
地下の生物であるモグラ。

そのモグラが

光が最大となる夏至の日に

地下から地上に姿を現して、

先住民族の聖なる石の上で、死を迎えた。

12のヤドリギのなるオークに見下ろされながら。

そして、わたしは友達とふたりで

そのモグラを樹の下に埋葬した。


とても象徴的なことが
ところどころに散りばめられているような気がしました。

おぼろげに浮かぶことは・・・

地下は無意識の領域、あるいは冥界。ゆたかな土壌。闇の世界。

死は大きな変容。

夏至は、最大の光。

闇と光と変容と。

12のヤドリギの下で。

先住民族の聖なる石の上で。

はっきりとした意味はわからないし、
今の時点では到底、意味をしっかり特定できません。

今までの夏至の朝の経験上、なにを示していたのかはゆっくりと、けれども鮮やかに紐解かれていくので、今回もそうして、この日この時間に起きたことそのものを大切にしていきたいと思います。

きっと、なにかが変容するのだとは強く感じました。
自分の中の奥深いところにある、なにかが・・・。

こうしてとても個人的な兆しを得たあとに、待ち合わせの小屋へ。


待ち合わせの場所ではいよいよ
パトリシア、リチャード、有志のみんなとの
夏至の特別なセレモニーが日の出と共にはじまるのでした。


⑦夏至のセレモニー へつづく。

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FESセミナーツアー2016 報告記事

FESツアーとは

➀まずは日々の全体を

② マザーストーン

③植物にお話を聞かせる

④レディスマントルのおはなし

⑤ニコシアナのおはなし

⑥夏至の魔法

⑦夏至のセレモニー

⑧空間から感じ取ること 

⑨いつまでも、たくさん。

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